Paperweight

    


フランスで古典期と呼ばれるペーパーウェイトの最盛期は、1854〜60年でした。1860年以降は欧州でペーパーウェイトに対する興味が薄れていったようですが、イギリス、アメリカでは20世紀初めまで製作されていたようです。
一番よく目にするパターンは、"ミルフィオリ"(一番左の写真参照)と呼ばれるもので、これはイタリア語で"千の花"を意味する言葉です。名前の通り、小さなガラスのなかに、数え切れないほどの花が咲いていることを連想させます。(ミルフィオリはケーンと呼ばれるガラスの細棒を使って、模様を作っていく方法です。これにより、年記やサインを入れることが可能になったということです。)

各国の歴史はこんな感じです。 ・フランスでは、1845年のオーストリア産業博覧会でムラノの職人ピエトロ・ビガグリがミルフィオリのペーパーウェイトを発表したことが製作の引き金となり、その後、バカラ、サンルイなどを中心に、最盛期を迎えていきました。
・ボヘミアでは1830年代、ミルフィオリを中心に製作されていました。
・イギリスでは、それらを模倣し、ミルフィオリをロンドン、バーミンガムの工場で製作していきました。
・アメリカでは、1853年のニューヨーク万国産業博覧会後、ミルフィオリを中心に製作され、それとともにバーナーワークの分野を発展させていきました。(このバーナーワークというのは、色ガラスの小片をハンドトーチやブロートーチで組み立て、モチーフを造っていく、という方法です。)

それが古典のものなのか、近代のものなのか、見分けるのはとても困難なようです。 年記があるものは、古典のものは滅多になく、模倣品も多いようです。
ペーパーウェイトは一つ一つそれぞれに個性があり、その美しさ、芸術性に圧倒されてしまいます。コレクターが多いのもうなずけますね。